はー。
大きな溜息。
やっと住んでいるマンションのエレベーターホールまでたどりつき、ふと腕時計を見る。
「1時半、か…今日は早い方だな…」
エレベーターがおりてきて、そして彼だけを乗せて上へとあがる。
そんな深夜。
ヤマトはひとり、部屋で父の帰宅を待っていた。
いつもならとっくに寝ている時間。
でも、翌日から夏休みで、しかもバンドもしばらく合同練習は無し。
こんな嬉しい休みの開始前日くらいは、帰宅の遅い父の疲れを癒してあげたい…通常なら“二人暮しだからこその家族感情”。
そう、「通常なら」…ヤマトの場合は、ちょっと違う。
ヤマトは知っている。自分が居たら、自分が翌日からしばらく休みであると聞いたら、父が自分に何をするか。
だから、食卓にはいつものように短い手紙と食事だけを置いて、自分はころあいを見て部屋から出、父を喜ばせようと考えていた。
がちゃり。
家の鍵があく音。
それを聞くと、計画があったにもかかわらずやはりヤマトは出て行かずにはいれなかった。
「オヤジ!おかえり!」
「ヤマト?!起きてたのか!」
「おかえり。…」
腕を父親の首にまわして、口付け。
「……ただいま。」
「明日から夏休みなんだ。…まあ、忙しいんだけどな」
「そうか、それで起きてたんだな」
「…晩メシ…ちょっと頑張ってみた。」
着替えもそこそこに父を食卓に引っ張ってくる。
「おっ」
好物が多い。しかも夏を意識して配慮してある。
「ヤマト、主夫決定だなぁ〜」
「な ……なに言ってんだよ…」
ふたりっきり。いつもならもっと違う反応ができるのに、意識してしまっている今はこれだけ言うのが精一杯な自分に気付いて、ヤマトは苦笑する。
食後、父は風呂、息子は食器洗い。それはいつもと変わらない、この家の日常風景。ただヤマトがぎこちなさすぎるだけ・・・。
「ヤマト」
呼ばれたヤマトは、知らないうちに父親がすぐ側に居たことに驚き、呼ばれただけで身震いしてしまう。
「久々に…いいか…?」
「…うん。」
躊躇することもなく。父に全てを預けてしまう。
蛇口の水を止めて。ヤマトの着ていた服―――パジャマとエプロン――は一部取り去られてしまう。
そう、エプロンだけを残して。
父は風呂上りなので既に半裸…
ヤマトは、その父に背を向けていたけれど―――父親の「風呂上りの芳香」でだろうか、酔い始めている…。
「んぅっ…‥ふ、」
場所が台所であること、それだけが唯一ヤマトに冷静さを保たせている。…逆に言うと、このことが「最後の壁」になっている。
「ちょ… ここじゃ… …っ…オヤジ」
「ここ?‥‥‥前じゃだめか?」
「な…ちが‥‥ぁ‥ばかっ」
「ああ、台所、がいやか。」
こくん。ヤマトは冷静な思考を持ちつつも、もう話すことができなくなり、ただ頷く。
「しかたないな‥いやって言われるとなァ…」
だが父が行為を止めることはない。
ヤマトは聞こえているし、考えているけれど、自分ではどうすることもできなくて…あとはもう、父の思うがまま。
「?!…オヤジ?ちょ…やっ ここじゃ…‥やめ‥ !!」
突然、何も考えることができなくなって。
「…手だけだぞ?」
父親は心なしか驚いているようである。けれど今の、浅い呼吸を繰り返すだけのヤマトの耳には聞こえていない。
「…ヤマト」
額に小さくキスをしてから、呼びかける。そして…やっとこちらを苦しげな潤んだ目で見上げたヤマトに軽く口付けしながら、静かに寝かせる。
「‥‥やっぱ ここがいいのかよ‥‥‥」
ヤマトはあきらめつつも苦しい息で再び抵抗を見せる。
「ん?ああ。何こだわってるんだ?」
「‥‥‥」
ベッドの方がラクっぽいじゃん。…父親もそうなら、息子もあっけらかんとしたものである。ヤマトの理由はそれだけだった。
再び熱を持って行為が始まる。
「なァ…今日はどうしたんだ?明日が休みだから、だけってことは…ないよなぁ?」
(・・また・・・始まった。)
しつこく何かを問われる時は、決まって問いの答えも出せぬほどの甘い刺激を与えられる。
それを考えただけで、ヤマトはさらに敏感になってしまう。
「…っぁ・・・‥‥」
「言えねえのか?」
「・・・・・だっ・・て・・あ・はっ」
だが、ヤマトの予想は裏切られ、いつもなら愛撫される場所を、いつも愛撫してくるその手指が、きつく縛めている。
「…たとえば、もう我慢の限界だった、とか・・・?」
「ちがっ!・・・・・」
「・・違うのか?・・・違わないだろう?」
ぶんぶんぶんっ。首を振って否定する。
「体は・・・わかってるみたいだけどなァ?」
縛めがゆるくなると、少しずつ、液が漏れてくる。
「ほら・・・・自分でも、わかるだろ?」
「あァっ・・・う・・」
「さっきのが違うんだったら、何があったんだ?」
「・・・・」
ヤマトの潤む視線がふいっ、と横へそらされる。その仕草に父は何かをくみとり、縛めを再びきつくして、尋ねる。
「何が、あった?」
「・・オヤジは、さ・・俺のこと・・・・ほんとは、どう 思ってるんだ?」
熱い吐息で切れ切れになってしまった息子の声を聞き取って、父は愕然となる。
「じゃあ聞くが・・ヤマト、お前こそ俺のことはどう思ってるんだ?Like?嫌い?・・それとも、Love・・・か・・?」
ヤマトはほぼ間髪入れずに答える。
「・・・愛・・してる。」
それは初めて聞く言葉だった。今の今まで、「好き」とまでしか、息子から聞いたことはなかった。
「ヤマト…」
縛めを突然解かれ、優しく抱きしめられて、ヤマトは少なからず戸惑う。
「いい子だ、ヤマト」
それは、昔、幼い頃、よく言われていた言葉。
それを今聞いて、なぜか、涙があふれる。
「ヤマト?」
「オヤジは・・俺で・・・俺なんか・・で」
「ばか、お前が一番だよ」
ひとつ、キスを落とす。
縛めを解いたそれから、液が滴り落ちていることを確認して、今度は舌で刺激を与える。
「・・・・・ふ・・あッ」
ヤマトの口からは、舌先が触れたその瞬間から、抑えきれずに声が漏れてしまう。
それがとても恥ずかしい。
でも恥ずかしいから、余計に感じてしまう。
体が仰け反って・・・大きく震えてしまって・・・
そのことが父には嬉しいらしい。
「声は出したって大丈夫だから・・・それより、お前やっぱ、限界だったんだなぁ」
手を動かしながら意地悪く言ってみると案の定反応する息子の表情がいとおしい。
「気付いてないのか?腰・・・・」
「煤I!」
ヤマトの体が羞恥でさらに熱を持つ。
「あともう一つ。こっちも」
「!」
「充分いいみたいだな」
ヤマトの気付かぬうちに、菊花も既に侵されていたのだった。
指が内壁を削ぐように動く、その感覚にヤマトは思わず身を竦ませる。
(なんか・・・こっから先は・・何回やっても慣れないんだよな・・・)
急に冷静になった頭でそう考える。
と、指がゆっくりと腔内から排除されていくのを感じ、瞬間冷静だった思考が奪われる。
「は・・・・んッ・・」
「指だぞ?それでも・・抜くときがいいのか」
本来ならプライドを崩されるその言葉も、ヤマトには聞こえない。
今ヤマトにあるのは、ただ、・・・・・「 悦 く し て 」。それだけ、である。
そのことを感じ取って、いじめる楽しみが無くなったことを淋しく思う父だったが―――、.
「・・・ま、いいさ」
「はや く....」
「ん?」
「お ね・・がい、早く・・・」
「ああ、わかったよ」
言うなり、突き立てる。
「!!」
ヤマトの叫びは、声にならずに、全て甘い吐息へと昇華する。
そして、必死に父にすがりつく。
その全てが、父にはいとおしく感じられる。
「なぁヤマト。やっぱり、まだしばらくは、・・・お前と二人みたいだな・・」
そのなんとも中途半端な言葉は、ヤマトには聞こえていただろうか。
(・・・言ってなんだけど、届いてない方がいいな・・)
そんな風に考えてしまう自分をとんでもなく情けない、と蔑みながら、父はヤマトの中で果てる。
ヤマトもまた、それを感じて再び達するのであった。
「ヤマト ・・・・・怒ってるのかー?」
「・・・なぁ あのさ」
「ん」
「・・動けねぇんだよ・・(///)・・・・このまま台所で寝るわけにもいかないから・・・」
「だっこしてやるよ」
「・・・・・・・(////) ・・もっと別の言い方があるだろ・・・・・」
照れながらも、動きようの無いヤマトは「だっこ」に甘んじる。
「…ちょっとムリだったか?」
「ううん。・・俺、幸せだな。」
「・・・・お前は・・・ウキウキ新婚さんか・・・?」
引きかけの父を見て、ヤマトはさらにのたまってみせる。
「じゃあオヤジは甘々新郎さんだな・・ククっ」
「・・・・・・・・・・。」
真剣に無理させたかな、と思う父とは裏腹にヤマトは笑顔でおとなしく腕に抱かれている。
そのままベッドに息子を寝かせて、父は立ち去ろうとする。
その様子に、ヤマトが不満の声を出す。
「・・・・・おやすみの、キス。して。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
アルコールでも飲んだんじゃ、と思った父は息子にアルコールだけは控えさせようとしたとか・・・。
・・・・うふふふふふふふふ(乾)
ああ、私が書いたとは思えない文・・・(駄目)
6月の終わりあたりから一週間に数行くらいずつ進めていた(遅)のを、ウツツ殿にさしあげることになって急いで書いてみたのですが・・(含徹夜)
ぅぐはっ・・・ざざざざざー(←吐砂の音・・)
私は甘いのスキだけどここまで甘いと砂を吐くコトしかできませんね(お前が書いたんだろ・・)
8月8日 みゆ まいら