周りを見てみる。
去年はこんなじゃなかったよなぁ。

「アイツ女子から告白されて今度つきあうらしいぜ」
「へー…」
「八神にはそうゆう話無いのかよ」
「無ぇよそんなもん」

でも。
いつだったか。


「太一さん!この写真は何です?」
「………何コレ;;」
「僕のクラスの女子がクリアファイルに大事そうにはさんでました。ムカついたから取ってきちゃいました!」

光子郎…“ムカつく”なんて言うやつじゃないのに。

「太一さん、太一さんが知らないってことは‥…じゃあこれ、いわゆる“隠し撮り”ってヤツなんですか?!!」

すごい剣幕。

「へ?…か・隠し撮りいぃぃ?!」
「まったくもう!こんなの簡単に撮られないでくださいよ…僕も撮りたくなっちゃうじゃないですか」
「…………は?………」

なんてコトも あったりしたけど。


オレって…人気ある、のかなぁ?
ヤマトはすっげぇ人気だけど。
…そういやぁ空も結構…オレが渡すの頼まれた手紙とかってたぶん…アレ、だよなぁ‥
光子郎は?光子郎……ん?
一回オレのクラスに来たあと…女子がなんか色々聞いてきたっけ…
…って!人気あるわけじゃないけど光るモノはある‥知名度あれば即人気出るってコトか!それって…やべぇよなぁ‥
せっかく。
光子郎と良い感じなのに。

いっそのこと人が大勢居る中で毎日一緒に登下校とかしちまいたい!
弁当も一緒に食って。
授業中いっぱいいっぱいメールして。
掃除さぼってパソコン室の準備室にかくまってもらったりして。
テスト中は一緒に図書館で勉強したりして。

んで………屋上でキスしたりして…

…屋上で……、キス‥‥。


「太一さん!」
「!」
「どうしたんです?あ、もしかして寝かけてました?起こしちゃってすいません…って昼休みでも寝るなんて…」
「……〜〜〜」
「太一さん?」
不思議そうな顔で覗き込んでくる光子郎。
オレは今考えてたコトを全部見破られるんじゃないかって気分になって、一人で勝手にあたふたしちゃってる。
「あのさ。これからはもう教室まで来んな」
気分で、唐突に言ってしまう。
「え?」
あ、光子郎ショックだったみたい。かたまってる。ちゃんと理由言わなきゃ。
「お・お前さ、実は女子にかっこいいって騒がれてるの知らないだろ」
「……」
「だから、教室には来んな。。できるだけオレが行くようにする。から。。」

そこまで言ったら光子郎が笑顔になる。
独特の抑えた笑う声が降ってくる。
光子郎が言う。
「太一さんが僕の教室に来た方が、女の子たちの騒ぎようはすごいと思いますよ。ふふ、太一さんこそ、自分がどういう立場かわかってないでしょう?」
「そ・そんなコトどうだって‥」
「どうだっていいわけないですよ!
僕、小学校のときパソコン部で一緒だった女の子から太一さんに彼女が居るかって聞かれたことがありますよ?」
へ?!そんなコトあったのか!
「で、“居る”って答えたらその子しばらくぼーっとしてました。よっぽどショックだったんでしょうね」

こんなに饒舌な光子郎も、くっくっと小悪魔的に笑う光子郎も別人のよう。
そして今聞かされた話も全くの初耳。
その両方でオレはフクザツな笑みを浮かべつつ光子郎を窺い見る。

「太一さんは人気ありますよ。僕はいつもハラハラしてます。太一さんを信じながら、ね。」

どきっ。
頭の中で反芻される一言。
「太一さんを信じながら」。

「だから、太一さんに僕の教室まで来て頂くのは最小限にしてもらわないと。そんなワケですから資料集や辞書は空さんからでも借りてください」
「あ、辞書…」
「ええ、まだ返してもらってなかったんで、それを取りに来たんです。」
「ご・ごめ…えっと、ハイ。」

無事に返された自分の辞書を見つめて小さな溜息をつく光子郎。
オレは‥、光子郎に会える機会が減るのはいや。そのために辞書も持ってきてないようなもんなのに。
「光子郎〜〜。。いいだろ別に〜オレはお前だけなんだしさぁ〜〜」

突然赤くなる光子郎。
かわいい。
久々にそんな感情を光子郎に抱いた。

「太一さん…」

こっちを見つめる瞳が何かを求めてる。
頭の中で さっき考えてたコトがリプレイされる。

“屋上で キス したり …‥‥”

「光子郎…」

 

 

 

「おーい!八神〜〜〜!」

 

はっ。

しまった。ココは思いっきりオレのクラスの教室。
光子郎も授業中寝てしまったときのようなバツの悪そうな顔。

「な、何?」
「いや、なんか呼んでくれって」

それに敏感に反応して光子郎が教室の扉を見つめる。
どうやら光子郎の知っている一年生の女子だったらしい。
「太一さんはいいですよ、僕が帰しちゃいますから。それじゃ。」
「う、うん…」
そそくさと行ってしまう光子郎。「いいですよ」なんて言われてしまってはオレはついて行けない。

気になって扉の方を見ると、仲良さげに話す光子郎と女の子たちが視界に入る。
……アイツが昔と比べて誰とでも話すようになったのは…オレには都合悪かったかな…
ふと、そんなコトを考えてしまう。
人のこと言えない、な。

 

―――光子郎、オレだって お前を 独り占め したい。
許して くれるよな?

 

 

アトガキ。

親方サマに捧げ…もとい押し付けた光太モドキです。
太一がいつにもまして乙女やってます(爆)
そしてみゆの妄想入りまくりです…(殴)
ゼッタイ太一と光子郎とヤマトは女子生徒からキャーキャー言われてるよなーとか色々考えたその結果、隠し撮り合戦(は?)が展開されてるのでわ…とか。
光子郎は二年・三年女子に「カワイイ」と大人気。コレ決定(大笑)
私も隠し撮り合戦(だから何)に参加したい…(ダメダメ人間)

あ、あとあの例えのなんともいえなさは、太一さんだからでス。。
(なんてゆうか…ムードも何もあったもんじゃない…ιι)
↑わかんない方は読み飛ばしちゃってください

それにしても教室で…あの数行の間に何があったのか;;
太一に声かけた同級生も勇気あるよなぁ‥(-_-;

みゆ  2000.08

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サイト改装にあたり読み直したけど
うまい具合に中学校っぽさが出てるなぁ。
こんなんっぽいですよね。ウフ。