注;文中には故意に誤字を用いている箇所があります。

 

その笑みに、大きく心を揺さぶられた。

いつも、そう。

あなたの・・・笑み。

僕を束縛する。僕を捕らえる。僕を立ち竦ませる・・・・。

 

今、そのあなたの顔に笑みは無い。

恐怖に引きつって、ガチガチと歯を震えさせて、・・・・・

ああ、僕を引き上げてくれるんですね。

 

もう一度、あなたの震える歯列をわって、舌を差し込む。

あなたの震えを一緒に味わって、そして僕は嬌喜する。

「怖くなんて、ないんですよ・・・・?」

それは本心。

だって僕はあなたを傷つけようなんて少しも思ってない。

 

それでもあなたの目はもう僕を捉えない。

「僕を、もう見てくれないんですか・・・?」

全部が虚になろうとしている。

この闇も、あの光も、僕とあなたの心を二度とは合わせない、そう言っている。

せめてあと少し。

僕に時を。

 

「・・・・・!・・・・・・!!」

「ほら、怖くない・・・・」

僕に時を。

狂っているのは何なのか、知る時間を。


心が消えた。

そう思った。

何も考えたくなくなった。

大事な人を、・・・そう、空気みたいに、

あるのが当たり前でなくなることは考えない存在、・・・その人を。

失った。・・・そう、思った。

そう思えば、少しは、助かるんじゃないかと考えながら。

 

そして、怖かった。

失ったものの大きさが、怖かった。

それを受け止める自分、どこか予想していた自分、・・それも、怖かった。

 

自覚する。

不思儀、だ。

芽生えてはならないものが頭をもたげ、

咲いてはならないものが、・・・華々しく、散ることも知らず、この中に。

 

何が異奇しいのか、わからない、でも、何かが。確実に、歪んで。

 

俺が、望んで・・・・・・そして、今に、至る。

 

 


 

二人とも、堕。
今度は太一さんも。


みゆまいら/20010430。