「夕方から、ずっと、キスしたかった」

光子郎はものすごい笑顔でものすごいことを言った。

ドアを閉めて鍵をかけたら、目の前に光子郎の笑顔があって、
びっくりしたまま唇を合わせた。
びっくりした勢いで後ろの方向に身体が行きかけていたが、
光子郎は二本の腕を巻き付けて俺の身体を抱き寄せた。

(あ、ディープ? ディープにいくのかな)
びっくりが引いていく。
引いていくのも自覚しないまま、思考だけが復活する。

光子郎はディープキスをしないまま、一度俺を離した。
そのとき、こう言った。
夕方からずっと、キスしたかったのだと。

手も繋ぎたかった。
手を繋いで散歩するように帰ってきたかった、と。

背の高い光子郎が、俺の目線に合わせてにっこり笑う。
でも我慢しました、偉い? と。
俺もつられてにっこり笑った。
そして、よしよし、と、光子郎の頭をなぜた。
それで光子郎がもっと柔らかい笑顔になるものだから、
俺もつられてすごく幸せな気分になった。

だから、もう一度キスをした。
重い鞄は、放り出した。
靴は、履きっぱなし。
玄関で、久々に、明るいうちから重ね付けするようなディープキスをした。


web拍手用の拍手お礼として載せていたものです。
かなり短いですね…(汗)
でもラブラブ甘甘です。
ハタチ前後かな。うふふ。

04.10.17. みゆ