ひらひらと舞う手の、紙のような白さに、目を奪われる。


真冬、冷気の沈む部屋で、光子郎を上から眺める。
はぁ、はぁ、と、息だけが聞こえる。
光子郎の腰は動かない。すさまじく熱い腰だ。動けないはずは無い。
憎い憎いとおもいながら、赤くなってがくがく震える手と腕で上半身を支えて、光子郎の白い腕を見詰める。
「あぁ…」
うめく声はごく小さく。彼は欲望を止めて止めて、俺がもっと熱くなるまで、待っている気なのだ。

真冬、暖房を落とした後、掛け布団などとうに半分ベッドの下、むきだしの背中が空気の冷たさを感じてきしむ。
それでも首筋から汗は止まらず、暑くて暑くて、苦しいほどだ。
上から眺めれば、まるで光子郎を犯しているような感覚に陶酔しそうになる。
あり得ないことに冷や汗をかきながら、同時に胸に宿る炎を踊らせる。

耐えかねて腰が止まり、かれの臍を舐めても、すぐに焦れてまた腰を使う。
再び憎い憎いと思い始めたとき、真白な右手がぬぅと揚がる。ぴたりと俺の胸に当てられれば、その冷たさは求めていたものとは違うとばかり、感覚がぞわぞわと広がってゆく。
広がる感覚もけだるい熱に変えて、腰を振り続ける。

「…あつい」
やっと言われた言葉は睦言とは遠く離れた言葉、冷たい言葉、けれど光子郎の声に勇気づけられ腕が震えを止める。
「あついだろ?」
思い切り低く問えば、光子郎はその冷たい右手で腹をなぞる。
そちらを感じたくて腰を止めれば、光子郎がゆっくり一回突き上げて、身体が喜ぶ。

「あなたに嬲られるのも、」
右手がゆっくり下ったり上がったりを繰り返すような動作になって、それから左手が震えを忘れた右腕を掴んだ。
「なかなか悪くない、そう思ったんですが」
右の肘が支えに安心して砕けそうになる。
「やはり、あなたを嬲りたくなる」

かれは左手を支えに半分起きあがり、そして右手を腹から離して完全に起きあがった。
圧迫が下腹を虐めるのを感じても、真白な、紙のような顔のなかに色気に沸き立つのを見れば、なんにも言う気になりはしない。

「ねえ、今日はどうしてあげましょうか」

 

i・ro・keで勝負。(え)
…嘘です、最後にお笑いにしてどうするんだ自分…

2005.02.12