光太 4/6/2020
さっきから、ずっと。手がしあわせを感じている。 光子郎が顔を緩ませても、太一は気付かない。 互いが違う方向を見ているからだ。 それでも、手は変わらずに。 「あっ」 太一が小さく声を上げるので、光子郎はようやく太一のほうを見た。 「うーー」 「あはは、うまくいかなかったんですか」 「うん。もっかい」 どうぞ、という言葉は要らないだろう。光子郎は黙ってまた視線をバスの外に向けた。スマホゲームに興じる太一は片手をずっと光子郎と結んでいるのだ。ゲームは両手でしたほうが良いに決まっているのに。 バスが通るたび桜の花びらが散っていくのをにこやかに見つめ、太一がまたうまくいっていない空気を察して光子郎は手の加減を変えた。 「左手も使ってください」 太一は光子郎を見ない。手が離れた。 「いいよ」 光子郎の意に反して、太一はスマホをポケットにしまう。そして手をもういちど光子郎の許に戻した。 「桜が綺麗だ」 「ええ」 そんな、春のひととき。
光太?かな? 3/9/2020
ただいまの声も無く、太一は部屋の扉を開けいつものように自室に入る。 なんの変哲も無い一日、なんの変哲も無い夜。 乾いた気持ちで淡々とシャワーを浴びようとして、ふと湯船に湯をはろうと思い立つ。湯はりの設定をして蛇口をひねったらあとはしばらく機械に任せればいい。 着替えとタオルを用意しようとしたとき、スマホが小さく震えた。 光子郎からの一言。「電話できますか」 砂漠に花が咲くように、気持ちに色がつく。 風呂がたまるまで、と返したら本当にすぐ通話の通知が来て太一を笑わせた。 「どした、光子郎」 太一は気付かない、その甘く弾んだ声に。ただし、相手は気付いていた。通話のタイミングを誤っていなかったことに。
ラスエボ 3/9/2020
好きとか嫌いとか以前に、すんなり登場人物を受け入れられたことがありがたくて、初見時はたぶんそれだけで放心状態でした。
映画としては、商業の匂いがしてしまってあまり好きになれないんですが。 これだけは言っておきたい。 光子郎さんは強いんです。 両親と血がつながっていないことを知りながら、それは知ってはいけなかったことだと幼いながら自分を律することのできた、強い人間なんです。
わたしが弱々しい光子郎さんを二次創作で受け入れられなかったのは、そういうところなのかなって、今更ながらに理解したのでした。ありがとうラスエボ。
ラスエボ観たんです 2/24/2020
えっgから始まる単語やばないすか。 光子郎さん半端ない。 経営も勉強したんですか。 とりあえずもう1回観ます。
光太 5/3/2018
「あれー、入ってたはずなのになあ」 ひとりごちて、軽く息を吐く。 半年の短期留学が決まり、家は現状維持で放っておいてもよかったけれどいろんなタイミングと事情が重なって新居に引っ越しすることになった。お金に余裕があるわけではないけれど、いろんな補助金やら制度やら、あげくに入居率が低いなんていう事情の絡みで新しくて広い高層マンションに引っ越せるのは妙なもの。 二人暮らしから二人暮らしになるだけのはずなのに、そして前の家具をそのまま持ってきただけなのに、妙に部屋が広い。そして家具がせせこましく感じられる。なんとも奇妙だ。けれどこれにもすぐに慣れるのだろう。もっとも太一はまた別の場所へ行くわけで、ひとり残される光子郎がその慣れを先に味わうはずだ。 「モノが多いんだなあ…捨てるか」 「捨てるほどのことですか?」 「わあ いたの光子郎」 「通りがかりです」 光子郎はにこりと笑う。そしてひょいひょいと文房具を手に取り、 「入らないわけじゃ無いでしょう」 あふれそうなところへ入れて引き出しを押し込む。 「そりゃそうだけど」 ふふっと笑う。物を捨てて綺麗に入れるのか、物を捨てること自体がいやなのか、その差があるだけのことで、太一は別にどっちだって構わない。光子郎がそういう主張をするのが好きだ。自分の前で光子郎がのびのびと振る舞っているのが好きだ。 「うん、大丈夫、入る入る」 太一は笑って答え、それから。 「ここが俺の帰る場所なんだよなあ」 新しいこの家が。光子郎のいる場所が。 しみじみと出した言葉に応えが無いから光子郎の顔をさがすと。 「なんです…急に」 「!」 めずらしく、太一が光子郎を照れさせたのだった。 その顔につられて太一まで顔を真っ赤にしたので、結局関係性はいつもと同じ。 「太一さん、だいすき」 「……おう」 ふたりでしきりに照れ合い笑い合いして、しあわせな引っ越しは続く。
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